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IT・Web業界:売上拡大に経理が追いつかない!急成長企業が早期にBPOを入れるべき理由

外注費の振込件数増加、SaaSと会計データの分断、月次決算の遅延。急成長するIT・Web企業のバックオフィスがパンクする構造的な原因と、経理BPOで仕組み化する3ステップを解説します。

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「事業や売上は順調に拡大しているのに、バックオフィスがいつもパンク寸前」「毎月末、フリーランスや外注先(SES等)への大量の振込処理に追われている」「経理体制が追いつかず、月次決算の確定が翌月後半まで遅れてしまう」——
IT・Web業界やスタートアップ、急成長中の事業者において、このような「事業成長とバックオフィス構築のギャップ」は、非常に多くの経営者が直面する大きな壁です。IT・Web業界はビジネスのスピードが速い反面、外注費の支払いやクラウドツールの管理など、経理処理が複雑化しやすい特徴があります。
本記事では、なぜIT・Web企業で経理のパンクが起きやすいのか、その構造的な原因と、早期に経理BPO(アウトソーシング)を導入して事業成長のアクセルを踏み続けるための解決策を解説します。

この記事のハイライト内容
パンクの構造的原因外注費の振込件数の増加、SaaSと会計データの分断、月次決算の遅延という3つのボトルネックを整理
採用よりBPOが先の理由情報サービス業の正社員不足率は業種別1位。「IT×経理」人材の獲得競争を避けて体制を作る考え方を解説
仕組み化の3ステップ「請求書のAI-OCR化」→「作成と承認の分離」→「支払専用口座での資金管理」という導入順序を提示

バックオフィスの仕組み化とは、請求書の受領から振込の実行までを担当者の手作業ではなく業務プロセスとして定義し、データ入力や照合を自動化・外部化したうえで、自社には承認と意思決定だけを残す体制を指します。取引件数が増えても業務時間が比例して増えない状態を作ることが目的です。

なぜIT・Web企業のバックオフィスは売上拡大に追いつかなくなるのか?

IT・Web業界特有のビジネス構造が、経理業務の負荷を急激に高める要因となっています。売上の伸びに対して、バックオフィスの負荷は比例ではなく加速度的に増えていきます。

ボトルネック何が起きるかIT・Web業界で起きやすい理由
振込件数の増加月末の振込処理に数時間〜数日を要し、支払遅延が発生する外注エンジニア・フリーランス・SESへの支払いが成長とともに急増する
データの分断CSV出力と手動転記が常態化し、担当者しか処理できなくなるSaaSを個別最適で導入するため、ツール間の連携が未整備のまま増えていく
月次決算の遅延投資・採用・資金調達の判断が1〜2ヶ月古い数字で行われる事業のスピードに対して、経理の確定サイクルだけが追いつかない

なぜ外注費・フリーランスへの振込件数が爆発するのか

事業が成長すると、業務委託のエンジニア、デザイナー、ライター、SESパートナーなどへの支払いが急増します。取引先ごとに締め日・支払日・源泉徴収の有無が異なるため、手作業での請求書確認や振込データの作成は、膨大な時間とミス発生のリスクを伴います。

この領域は、単に手間がかかるだけでなく法令上の期限が設定された業務でもあります。2024年11月1日に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス法)第4条では、発注者は特定受託事業者の給付を受領した日から起算して60日以内の、できる限り短い期間内に報酬の支払期日を定めなければならないと規定されています。再委託の場合は、元委託業務の支払期日から30日以内という別のルールが適用されます。

つまり、「経理が追いつかないので支払いが翌々月になった」という状態は、社内の業務遅延ではなく法令違反になり得ます。取引先が個人であるほど、この期限管理はシビアになります。

さらに、源泉徴収の要否が報酬の種類によって分かれる点も、IT企業特有の処理を複雑にします。国税庁の定めるところでは、個人へ支払う原稿料やデザイン料は源泉徴収の対象です。同じ「外注先への支払い」であっても、案件の内容によって処理が変わるため、担当者の判断に依存した運用は破綻しやすくなります。

SaaSと会計データの分断はなぜ起きるのか

HubSpot、kintone、Stripe、各種クラウド会計ソフトなど、IT企業では多くのSaaSツールが導入されます。しかし、これらのツール間のデータ連携が未整備のままだと、CSVを出力して手動で整形・転記するという泥臭い手作業が発生し、バックオフィスのボトルネックとなります。

皮肉なことに、ツールの導入数が多い企業ほどこの分断は深刻になります。個別最適で選ばれたツールが増えるほど、その隙間を人間が手作業で埋める構造になるためです。

月次決算の遅れは経営判断にどう響くのか

経理処理が追いつかないと、毎月の損益(P/L)やキャッシュフローの確定が遅れます。事業投資や追加採用、資金調達の判断に必要なリアルタイムの財務データが得られないことは、スピードが命のIT企業にとって重大な機会損失となります。

とくに資金調達を予定している企業にとって、月次数値の遅れは実害が大きくなります。投資家や金融機関との対話では直近の実績が問われますが、確定が翌月後半にずれ込む体制では、常に1〜2ヶ月古い数字で議論することになるためです。

IT・Web企業が「社員採用」ではなく「経理BPO」を選ぶべき理由とは?

急拡大期のIT・Web企業が経理の正社員を採用しようとすると、多くのハードルにぶつかります。BPOを活用した場合との違いをまとめました。

比較項目経理の正社員採用(自社対応)経理BPO(アウトソーシング)の導入
立ち上げスピード採用〜入社まで3〜6ヶ月以上最短数週間で即戦力体制を構築
ITツールの知識個人によってSaaSやITスキルの差が大きい最新ツール・API・自動化ノウハウを標準装備
業務量の変動対応取引件数が急増した際に対応が追いつかない取引量や成長スピードに合わせて柔軟にスケール
退職・離職リスク1人経理が辞めるとバックオフィスが即停止組織対応のため担当者交代があっても業務は継続
コスト構造年間数百万円の固定費(給与・社保・採用費)必要な業務量に応じた費用設計(変動費化)

この違いが最も表面化するのが、採用した人材が辞めたときです。帝国データバンクの人手不足倒産の動向調査(2025年度)によれば、2025年度の人手不足倒産は441件と前年度の350件から約1.3倍に増え、3年連続で過去最多を更新しました。うち従業員や経営幹部の退職が原因となった「従業員退職型」は118件で、年度ベースで初めて100件を超えています(負債1,000万円以上・法的整理による倒産が対象)。

人を採ること自体がリスクなのではありません。特定の個人が抜けたら業務が止まる構造を作ってしまうことがリスクなのです。

急激な業務量の増加に即座に対応できるのはなぜか

「来月からの案件増加で外注先への振込が50件増える」といった場合でも、BPOであればリソースをフレキシブルに拡張できます。自社で採用を行う場合のような、採用までのタイムラグが発生しません。

急成長企業にとって重要なのは、この業務量の増減に対する追従の速さです。採用は事業の成長カーブより常に数ヶ月遅れて着地するため、採用で追いかける限り、バックオフィスは構造的に遅れ続けることになります。

「IT×経理」人材の採用難をどう回避するか

SaaSツールのAPI連携やクラウド会計、AI-OCRなどを使いこなせるITリテラシーの高い経理人材は、市場で極めて引っ張りだこです。

そもそもIT業界そのものが、全業種で最も人材を確保しにくい状況にあります。帝国データバンクの人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)によれば、正社員が不足していると回答した企業は全体で50.6%でしたが、業種別では「情報サービス」が66.7%と最も高い水準でした(全国2万3,083社を対象、有効回答1万538社)。同調査では、AIの普及やDX化により案件は増えているものの、スキルに合った人材の獲得競争が激化している状況が指摘されています。

エンジニア採用ですら苦戦する市場環境の中で、さらに希少な「IT×経理」人材を確保しようとするのは、経営資源の配分として合理的とは言えません。年収条件が高騰しているこうした人材を自社で獲得・維持するよりも、ノウハウを持つBPO事業者へ任せる方が費用対効果に優れています。

なお、経理人材の採用コストと早期離職リスクを数字で比較した内容は、本シリーズ第1回の経理採用の限界:「月額30万円で採用したのに即退職」リスクをゼロにするBPO活用術で詳しく整理しています。

バックオフィスを仕組み化する3ステップとは?

経理の混乱を解消し、自動化されたバックオフィスを構築するための実践ステップです。

ステップ1:請求書回収とAI-OCRによる自動データ化

各フリーランスや外注先からの請求書受領を、オンライン(クラウド受領ツールや専用フォーム)へ一本化します。紙やメールに散らばった請求書をAI-OCRで自動読み取りし、振込データや仕訳データの入力作業を自動化・簡略化します。

最初に着手すべきは、ツールの導入ではなく受領経路の一本化です。請求書がSlack・メール・郵送に分散したままでは、どれだけ読み取り精度の高いツールを入れても、回収漏れという最上流の問題は解決しません。

受領経路を変えずに一本化する方法としては、メール転送だけで振込データが完成する運用も参考になります。取引先に新しいツールへの登録を求めずに済むため、外注先の数が多い企業ほど導入の摩擦が小さくなります。

ステップ2:振込データ作成(BPO)と承認(経営陣)の分離

毎月末の大量の振込データ作成・一次チェックはBPOへ委託します。自社の経営者やボードメンバーは、生成された振込予約データの内容を確認して最終承認ボタンを押すだけの運用へ切り替えます。これにより、月末の振込作業にかかる時間を数時間から数分に圧縮できます。

この分離は、作業時間の削減だけが目的ではありません。作成者と承認者を分けることは内部統制の基本であり、誤振込と不正送金の両方を同時に防ぐ設計になります。その考え方と根拠は、本シリーズ第2回の振込・支払業務を自社でやるリスク:不正・手入力ミス・情報漏洩を防ぐガバナンス設計で詳しく解説しています。

ステップ3:支払専用口座で資金管理を透明化する

メインバンクとは別に支払専用口座(振込用口座)を用意し、当月必要な支払資金だけを移動させて振込を実行します。万が一の操作ミスを防ぐとともに、毎月の外注費・固定費の流出額が一目で把握できる財務体制を整えます。

急成長企業にとっては、リスク低減以上にキャッシュの可視化という効果が大きくなります。その口座の残高がそのまま当月の支払予定額になるため、バーンレートの把握が口座を見るだけで完結します。

「実務は外部・承認は自社」を実現する口座の選び方

この形を最も素直に実現できるのが、支払特化型の法人口座とBPOの組み合わせです。

フィンサーバンク(北國銀行フィンサー支店)では、BPO担当者が請求書のデータ化から振込データ作成までを行い、経営者はスマートフォンの生体認証(To-ride)で承認するだけという運用が可能です。物理トークンを持ち歩く必要がないため、出張や外出の多い経営者でも支払いが止まりません。月額基本料は無料(0円)、他行宛振込は一律90円のため、外注先への振込件数が多い企業ほどコスト面のメリットが大きくなります。

メインバンクをどう選び、支払専用口座をどう組み合わせるかについては、スタートアップの法人口座、どこで開設すべき?選び方5つのポイントも参考にしてください。

まとめ

売上が急拡大しているIT・Web企業において、バックオフィスのボトルネックは最大の成長阻害要因になり得ます。

  • 毎月、外注先やフリーランスへの大量の振込対応に追われている
  • 経理担当者を募集しているが、条件に合うITリテラシーの高い人材が集まらない
  • 経営者が自ら請求書処理や振込作業を行っており、コア業務(営業・開発・採用)に集中できない

これらに当てはまる場合は、人を採用して解決しようとする前に、BPOを活用したバックオフィスの仕組み化を検討することをおすすめします。採用が事業の成長カーブに追いつかない以上、人を増やす発想のままでは、バックオフィスは常に遅れ続けます。取引件数が増えても業務時間が増えない構造へ切り替えることが、成長スピードを落とさない唯一の方法です。

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よくある質問

Q. 創業まもないスタートアップでも経理BPOを使う意味はありますか?

A. あります。むしろ取引件数が増えきる前に導入したほうが、移行コストは小さく済みます。件数が膨らんでから移行しようとすると、過去分の整理と並行して新しい運用を立ち上げることになり、移行時の負荷が跳ね上がります。振込代行など負担の大きい業務ひとつから始めるのが現実的です。

Q. フリーランスへの支払いが遅れると法的な問題になりますか?

A. なり得ます。フリーランス法第4条により、発注者は給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で支払期日を定める義務があります。60日を超える支払期日を契約で定めても認められず、受領日から60日目が支払期日として扱われます。経理体制の遅延がそのまま法令違反につながるため、支払フローの整備は優先度の高い課題です。

Q. 外注費の源泉徴収はBPOに任せられますか?

A. 報酬の種類ごとの源泉徴収の要否判定を含めて、実務処理を委託できます。個人へ支払う原稿料やデザイン料は源泉徴収の対象となる一方、案件の内容によって扱いが変わるため、判断基準を明文化して運用に落とすこと自体がBPO導入の価値になります。個別の税務判断が必要なケースは顧問税理士と連携する形が一般的です。

Q. freeeやマネーフォワードを使っていますが、そのまま使えますか?

A. フィンサーバンクのBPOサービスは、freee・マネーフォワードの利用を想定しています。その他の会計ソフトを使用している場合は、乗り換えを検討いただくか、既存ソフトへの対応可否も含めて無料相談をご利用ください。

Q. 業務委託先が毎月増減するのですが、費用は都度変わりますか?

A. 業務量に応じた費用設計になるため、固定費として人を抱える場合と違い、取引件数の増減に合わせて調整できます。案件が集中する月だけ処理件数が増えるようなケースでも、追加採用や残業で吸収する必要がありません。

Q. 月次決算はどのくらい早くなりますか?

A. 短縮幅は現状の体制によりますが、遅延の主因が請求書の回収と入力作業にある場合、効果は大きくなります。請求書の受領経路を一本化してAI-OCRでデータ化し、振込データ作成を外部に切り出せば、月初にまとめて処理していた作業が日次で進む状態になるためです。まずは自社の月次確定がどの工程で止まっているかを切り分けることをおすすめします。

金和 昇汰

著者

金和 昇汰

株式会社f9k セールス

近畿大学経営学部を卒業後、2015年に大阪シティ信用金庫に入庫。リテール営業及び融資業務に従事。2022年に日本政策金融公庫へ入社し、スタートアップ・中堅中小企業向け法人融資業務に従事。2025年より株式会社Finswer・f9kに参画。

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