法人口座を複数持つと維持費はいくら?月額コストの落とし穴と最小化のコツ【2026年版】
法人口座を複数持つときの口座維持費(インターネットバンキング月額料・総合振込/給与振込の利用料)を銀行種別ごとに比較。維持費と振込手数料の合計で判断する考え方と、管理コストを抑える実務のコツを解説します。
「法人口座を増やしたら、気づいたら月1万円近く維持費が引き落とされていた」 — これは珍しい話ではありません。メガバンクや地銀のインターネットバンキングは、総合振込や給与振込など追加機能を有効にするたびに月額利用料が積み上がります。複数口座の「正しい」持ち方を決める鍵は、維持費と振込手数料の合計で判断することです。
まず結論:複数口座を持つならネット銀行を組み合わせる
法人口座を複数持つときに意識すべきは、次の3点です。
- 口座維持(インターネットバンキング月額)コスト
- 振込手数料(他行宛・同行宛)
- 管理コスト(ログイン先・承認アプリ・トークンの数)
この3つの合計が最も小さくなるのは、「メインの取引口座(都市銀行または地方銀行)+振込・経理業務用のネット銀行」という組み合わせです。ネット銀行の多くは口座維持費が無料で、振込手数料も都市銀行の1/3〜1/5程度に収まります。
メガバンク・地銀のインターネットバンキングは「機能単位」で維持費がかかる
メガバンクや地方銀行のインターネットバンキングは、基本料金に加えて、機能を有効化するたびに月額利用料が加算される料金体系になっているケースが一般的です。
メガバンク・地銀でよくある月額費用の構造
| 項目 | 月額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 基本利用料(IB月額) | 1,760〜3,300円 | 都市銀行のビジネス向けIB |
| 総合振込サービス | 追加1,000〜3,000円 | 一括振込用のデータ送信機能 |
| 給与振込サービス | 追加1,000〜3,000円 | 給与一括振込用 |
| 電子証明書 | 無料〜数百円 | 管理者・承認者ごとに必要 |
総合振込・給与振込を両方利用し、承認用のトークンを複数発行すると、1口座あたりで月額5,000円前後、年間6万円近い維持費が発生することも珍しくありません。口座を2〜3つ同じような条件で保有すると、維持費だけで年間15〜20万円に膨らみます。
ネット銀行・オンライン銀行は多くが維持費無料
ネット銀行やオンラインバンクは、基本的にインターネットバンキングの月額利用料が無料で、総合振込・給与振込も追加料金なしで使えるものが主流です。
| 銀行 | IB月額 | 総合振込 | 給与振込 |
|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 Biz STATION | 1,760円 | 別途契約料 | 別途契約料 |
| みずほ銀行 みずほビジネスWEB | 3,300円 | 別途契約料 | 別途契約料 |
| GMOあおぞらネット銀行 | 無料 | 無料 | ー |
| 住信SBIネット銀行 | 無料 | 無料 | ー |
| PayPay銀行 | 無料 | 無料 | 1,100円 |
| フィンサーバンク | 無料 | 無料 | 無料 |
※各行の最新料金は公式サイトでご確認ください。
複数口座を持つ前提であれば、少なくとも「振込・経理業務用」の1口座はネット銀行にしておくのが鉄則です。維持費を払ってメガバンクのIBを複数契約するより、無料のネット銀行に振込業務を集約したほうが、年間コストは数十万円単位で変わります。
判断軸は「維持費 × 振込手数料」の合計
複数口座の使い分けを判断するときは、維持費だけを見ても、振込手数料だけを見ても不十分です。両者を合算した年間コストで比較するのが最短の意思決定方法になります。
振込手数料(他行宛)の目安
| 銀行 | 他行宛振込手数料 | 同行宛振込手数料 |
|---|---|---|
| 都市銀行(IB) | 330〜660円 | 110〜220円 |
| 地方銀行(IB) | 440〜660円 | 無料〜220円 |
| GMOあおぞらネット銀行 | 143円 | 0円 |
| 住信SBIネット銀行 | 145円 | 0円 |
| PayPay銀行 | 145円 | 0円 |
| フィンサーバンク | 90円 | 13円 |
ケーススタディ:月100件振込する企業の年間コスト
| 構成 | 維持費(年) | 振込手数料(年) | 合計 |
|---|---|---|---|
| 都市銀行1行(他行宛440円) | 約3.2万円 | 約52.8万円 | 約56.0万円 |
| 都市銀行+地銀の2行併用 | 約6.4万円 | 約52.8万円 | 約59.2万円 |
| 都市銀行(入金)+フィンサーバンク(振込) | 約2.1万円 | 約10.8万円 | 約12.9万円 |
振込用の1口座をフィンサーバンクに寄せるだけで、年間40万円以上の削減が現実的な水準で見えてきます。
「同行宛を増やしてコストを下げる」戦略は、もはや割に合わない
古くからある節約術として、「取引先と同じ銀行の口座を開設して、同行宛振込で手数料を下げる」という方法があります。確かに、都市銀行の他行宛振込手数料が550円、同行宛が110円というケースでは、同行に寄せるだけで約440円の差が出ます。
ただしこの戦略には見落とされがちなコストがあります。
- 取引先ごとに別の銀行の口座を開くため、口座数そのものが増える
- 口座が増える分だけIB月額・トークン・電子証明書の維持費が積み上がる
- 承認フローが銀行ごとに違うため、経理担当者の工数が増える
- 残高把握が分散し、資金繰り判断の難易度が上がる
そもそも、フィンサーバンクは他行宛でも一律90円です。複数の同行口座を開いて管理する時間と維持費を考えると、振込業務をフィンサーバンクに集約して「他行宛90円」で処理したほうが、総コストは圧倒的に低くなります。
管理コストという「見えない維持費」
複数口座を運用すると、口座維持費や振込手数料とは別に、次のような管理コストが発生します。
| 管理コスト | 内容 | 影響 |
|---|---|---|
| 複数IBへのログイン | 銀行ごとにID/パスワードを切り替える | 経理担当者の日常業務の時間ロス |
| 承認アプリ・トークンの使い分け | 銀行ごとに異なるアプリ・物理トークン | 紛失・有効期限切れで振込が止まる |
| 振込データの二重管理 | 会計ソフトへの転記・消込が口座ごとに発生 | 月次の締め作業が遅延 |
| 残高の分散 | どの口座にいくらあるか把握しづらい | 資金繰り判断のミス |
特に経理担当者が1〜2名の中小企業では、口座が3つを超えると「月末の振込日に、複数のトークンを出して、IBを切り替えながら作業する」といった状況が日常化します。これは人件費換算で月数万円規模の負担です。
管理コストを下げるポイントは、取引先への出金(振込)をどの口座から実行するかを最初に決めておくこと。 振込用の口座を1つに固定すれば、月末の承認作業は1つのIB・1つのトークンで完結します。
複数口座を持つなら、こうチェックする
複数口座を検討・運用する際のチェック項目は次のとおりです。
- 各口座の用途を明文化したか
- 口座ごとのIB月額利用料と追加機能(総合振込・給与振込)の利用料を把握したか
- 他行宛・同行宛の振込手数料を比較したか
- 振込用の口座は、維持費無料・振込手数料が最安のネット銀行に寄せたか
- 取引先への出金を行う口座を1つに決めて、承認フローを統一したか
- 使っていない口座を放置し、維持費が引き落とされ続けていないか
まとめ
法人口座を複数持つこと自体には、資金管理やリスク分散の面でメリットがあります。ただし、メガバンクや地銀のインターネットバンキングは機能ごとに維持費が積み上がる料金体系になっており、複数口座を同条件で運用すると年間十数万円〜数十万円の固定費がかかります。
複数口座のコストを最小化する現実解は、振込・経理業務用の1口座をネット銀行に寄せることです。特にフィンサーバンクは、口座維持費が無料で、他行宛振込手数料も業界最安値の90円。同行宛なら13円です。「複数口座を維持するための費用」を、ほぼゼロに近づけられます。
フィンサーバンクは、こちらから無料でお申込みいただけます。
よくある質問
Q. 法人口座は複数持つべきですか? A. 目的があるなら持つべきです。「振込用」「入金用」「融資用」のように用途を分けるとコストと管理のバランスが取れます。ただし4つ以上になると管理コストがメリットを上回る傾向があります。
Q. 口座維持費がかかる銀行と、無料の銀行の違いは何ですか? A. メガバンクや地銀はビジネス向けインターネットバンキングに月額料金を設定しています。総合振込・給与振込などの追加機能ごとに別料金が発生することも一般的です。一方、ネット銀行の多くはインターネットバンキングも総合振込・給与振込も無料で提供しています。
Q. フィンサーバンクの維持費はかかりますか? A. フィンサーバンクの口座開設・口座維持・インターネットバンキング・総合振込・給与振込はすべて無料でご利用いただけます。
Q. 使っていない法人口座は解約すべきですか? A. 維持費が発生している口座や、長期間入出金がない口座は解約を検討してください。放置するとIB月額が引き落とされ続けるだけでなく、金融機関によっては「未利用口座管理手数料」が発生する場合もあります。

著者
田口 周平
株式会社f9k 取締役COO
東京大学法学部を卒業後、2015年に経済産業省に入省。原子力政策や情報政策、省内全体の政策・法令統括や災害対応などを担当した後、2020年4月からはコロナ禍では中小企業向けの金融支援策を担当。約56兆円超の貸出実績となっている実質無利子・無担保融資の制度設計のほか、信用保証制度の運用を担当する。2021年末に経済産業省を退官し、その後株式会社Finswer・f9kの取締役COOに。